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91 工具

ルーペ(虫眼鏡、拡大鏡)

空冷ポルシェはエンジンオイル漏れが当たり前、という話を時々耳にします。
そんな事は無いと思っています。

漏れ箇所に、ガスケット(GK)やパッキン(PK)、オーリング(Oリング)や
シールリングやリップシールが、使われている事が多いです。
材質はゴム製が多く、ゴムは経年劣化します。
漏れた場合、10~15年以上経過していれば、何も考えずに交換するのが一般的でしょう。
数年ほどの経過年数で漏れた時でも「とりあえず交換してみる」ってのが普通でしょう。

しかしノインマイスターでは、分解したらチョット考えてみたいのです。
部品をバラして、Oリングやリップシールを見て、ピンポイントで、
「どこが/いつ頃/どのように/なぜ悪くなって/どういう経路で漏れたか」を
考えたいのです。年数相応で有れば問題有りません。年数相応でなければ
相応でない真の原因を知りたいのです。そういう時に活躍するのがルーペです。

Peak

写真を撮るために、市販のカッターナイフで鉛筆を削りました。
拡大して見ると、鉛筆の塗装はスパッと切れているのではなく、
デコボコしながら割れていました。
拡大するまでは、もっと綺麗に切れているであろうと想像していましたが、
現実は違っていました。拡大してみなければ気付きませんでした。
なお、鉛筆は、たまたま手元にあった国産メーカー品です。

ポルシェの話に戻ります。
Oリング等と相手の部品との接触面は、拡大して見ればデコボコしていたり、
バリや傷が有ったりします。肉眼で見えるバリ等は、作業中に自然と気が付きます。
さて、眼に見えないバリ等がある場合、Oリング等の弾力がある期間は
弾力のあるゴムが凹凸を埋めてくれるでしょうから、漏れないでしょう。
しかし経年劣化によって弾力が無くなってくると、やがて漏れ始めるでしょう。
その漏れ始めるまでの年数が、デコボコやバリが少なければ15年だとしても、
デコボコが多ければ10年かも5年かも数年かも知れません。

空冷ポルシェに良くあるオイル漏れの原因がOリング等のゴム寿命であっても、
ルーペで良く見れば、寿命の長さを左右した要因(真の原因)が見えたりします。
本当に肉眼で。
時にはPAG新車製造時の組み付けの微妙なズレを見つける事もあります。

「オイル漏れ→分解清掃→消耗品などを交換して組み立て→完成」という
ごく普通の手順の中で、ルーペ等を使用して気になるデコボコやバリなどを発見したら、
都度処置する。そうする事で、結果や今後の調子や将来の耐久性に
差が出てくると考えます。

ルーペは、
ポルシェ部品の性能や耐久性を長く維持する為と、
ポルシェを長期間にわたって調子よく維持するためと、
ポルシェを気持ちよく長く乗り続けるために、
必要不可欠な究極の道具だと思っています。

ルーペについて、オイル漏れを例にして書きましたが、ベアリングなどの金属表面も
ルーペで見ると発見が有ったりします。色んな場所を見るたびに新たな発見があります。
ルーペは一つの工具として紹介しました。
なお、Oリングなどのゴムは年々良くなってきており、近年は同じ手順で組んでも
昔よりはオイル漏れがしにくくなってきてます。

ポルシェを触り始めて20年ですが、全ての部品の一つ一つをルーペで
確認しているわけではありません。そんな事をしていては仕事が進みませんから。
ただ、気になる事がある場合には、ルーペで確認する、
常にそういう問題意識を持ちながらお客様のポルシェに接しています。
今後機会がありましたら、工具カテゴリーにてオシロスコープを取り上げたいと思います。
オシロスコープも肉眼には見えないモノを見る為に役立ちます。
オシロスコープはミツワでメカニックをしていた頃にマイカーの
ポルシェ911(73RS仕様エンジン)の、とある「波形」を確認するために購入しました。

ガレージノインマイスター祖父江