ボルトが固くて緩まない時(錆による固着など)
ポルシェの修理屋ノインマイスターの祖父江です。
昨夏からお預かりして、まだ完成していない車両があります。お待たせして申し訳ありません。
オーナー様が、昨日、いらっしゃいました。
とても鋭い御質問を2つ頂きました。
その1
オーナー様 「ここ(のナット)は緩みましたか?」
以下、一般論です。
固着したボルトナットは、折れるモノだと思ってました。折らずに緩める努力を真剣にした事はありません。
折れた場合には追加作業が発生する場合もあります。そうすると、オーナー様のご負担も増えますし、作業の手間も増えますから、折れない方が望ましいです。
交換予定のボルトが「緩まない」時は、ワザと折っちゃった方が、楽で早い状況もあります。強度区分8.8(8T)のM8(直径8ミリ)まででしたら、ハンドレンチで折れます。締める回転方向で折る方法もありますが、母材(相手部品)側の剛性や強度がしっかりしており、母材を痛める可能性が無い事が条件です。
あるいは母材側の雌ネジがダメになりかけている時、リコイルを簡単に打てるのでしたら、アレコレ試行するよりも、ネジ山を破壊しても良いからさっさと除去してリコイルを挿入した方が良い結果になる事もあります。
真剣に折らずに緩める方法を試し始めたのは、直近5年でしょうか。空冷ポルシェの経過年数と共に、部品の傷み劣化が増加してきた背景も、あります。
色々な方法を試し、近年は折る頻度が激減しました。その具体方法や具体例は大量であり、ケースバイケースの個別対応ですので、ここで説明する事は出来ませんが、ひとつだけ、書きたいと思います。
潤滑剤をたっぷり吹き付けながら、「緩める締める」を繰り返していると、やがて少しだけ回る事があります。「緩める締める」は、素早く、回数でいえば500回以内が目処です(それ以上の回数は無駄だと思います)。両手とレンチが自由に振れる場所でしたら5~10分でしょう、商売的には腕が疲れても15分を諦める目処にしています。自由に振れない場所の場合は、時間が掛かりすぎますので、諦めた方が良いと思います。たぶん初めてやると腕の筋肉が持たないと思います。
ほんの少しでも回れば、ほぼ100パーセント外れます。
「緩める締める」の緩める力は規定トルクの数倍以内、締める力は規定トルク以内、って感じです。
この手法の成果は、潤滑剤の性能で大きく変わるようです。愛用している商品は、ホームセンター安売り商品と比べると、小さな容量で、価格は10倍ぐらいです。市販されていますし、何人かのお客様にはノインマイスターにて小売りもさせて頂きました。
その2
もう一つの御質問は、1メートルぐらいの足場パイプ(鉄パイプ)みたいなもの3本が見えた時、
オーナー様 「コレ、何ですか?」
祖父江 「組み立て式の全長2メートル40センチのトルクレンチです」
乗用車の整備ではお目に書かないような長さのレンチです。材質はアルミと鉄ですが重量は11kgも有ります。特にメーカーにこだわったわけでは有りませんが、RAHSOL SOLINGEN-GERMANY と書いてあります。
WEST-GERMANY ではなく、SOLINGEN-GERMANY なのですね(ゾーリンゲンは刃物で有名な町です)。
錆などで固着しておらず単に固い場合は(緩むハズという状況)、力不足ですから、エアツールや長いレンチを使用するのが良いと思います。
建築やプラント等では更に強力な倍力レンチ(ギヤレンチ)を使いますが、自動車整備では一部の専用ツールに倍力構造が採用されているぐらいです。そういえば、959の車載工具のホイールセンターロックレンチは、倍力レンチです。
---
以上、固着の場合、状況によっては緩める努力を、状況によってはサッサと破壊する、そして超ロングなレンチの話でした。匠技というカテゴリーにしましたが、そんなたいした話ではありません。
記事にしたい内容が溜まっております。今は時間がありません。
記事にするための写真を撮影させて頂いたお客様、必ず記事にします。
最近のコメント