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2011年7月

PORSCHE930点検整備調整

愛知県のS様のポルシェ930ターボ(1989年5速)です。
半年ほど前に初回の点検整備を承りまして、次回は6月頃という仮予約を頂いておりましたが、ノインマイスターの都合により遅れまして申し訳ありませんでした。今回は前回の残作業を少しと新たな点検整備を承りました。有り難うございます。

エンジンオイルや小物部品の交換などをさせていただきまして、それ以外にトラブルシュート的な検討事項もありました。詳細は省略させて頂きます。
下記写真は、早朝同乗テストラン時のパーキングエリアとEVC-S(ブーストコントローラー)調整走行中の写真です。

930turbo

念のために点火時期調整工具とタイミングライトを持参しました。
祖父江が5速で踏むつもりで出かけましたが、S様ご自身でしっかり踏んで頂けましたので、セッティングは順調に終わり、通勤に間に合うように帰還できました。
メンテの度にどんどん調子が良くなっていくと、オーナー様も祖父江も嬉しいです。

有り難うございましたm(_ _)m
PS.車中でのお話しの件ですが、ひとつ言い忘れがあります(お電話下さいorお電話いたします)

ケイマンエアコンガスチャージ

岐阜県のY様のPorsche Cayman Sです。
つい先日、ご予約のお電話をいただきまして、今回が始めてのご来店です。有り難うございます。

Cayman_red

上記写真。圧力確認/真空引き/ガスチャージです。
過去の状況をY様とお話しした結果、恐らくは今年の夏は冷え続けるであろう感触を得ました。
エアコンの根本的な点検修理はどのように展開していくかの御相談も有りましたので、ご説明させて頂きました。

Cayman_ac

上記写真。完成後のY様のケイマンの前で写真を撮影させて頂きました。ブログ記載もご快諾頂きまして有り難うございます。
右側がポルシェオーナーのY様で、左が祖父江です。

オイル交換のご予約も承りましたが、現在多忙なため、改めてノインマイスターからご連絡させていただくことになりました。しばらくお待ち頂けますようお願いいたします。
有り難うございましたm(_ _)m

セルモーターが時々回らない(セルカッチン病)

愛知県のT様のポルシェ911Carrera(3.2カレラ)です。今回はトラブルシュートを承りました。

ご来店時に車両を簡単に拝見すると、ブレーキオイル(フルード)が入っていませんでした(漏れてました)。T様はビックリされつつも、DIYの自己流改造は楽しいけれど、リスクと裏腹、と、おっしゃいました。ごもっともです。
車両お預かり後、何回か移動したところで(距離50mぐらいでしょう)、ブレーキペダルがエアを噛んだ感触になり、以後は、サイドブレーキを利用して停車しました。間一髪というかギリギリで当店へたどり着けたのかなと思います。ご無事で何よりでした。

さて、本題のスターターモーターです。
数年前より、時々セル本体がカチンと言うだけでクランキングしない症状が出ており、プルインコイル(ソレノイドスイッチ)とセルモーター本体を交換したものの症状に変化が無く(単純に交換しただけですね)、安心して乗れるようにするために原因を探る事になりました。

今回、一ヶ月ほどお預かりしましたが、症状は一回も出ませんでした。トラブルシュートとしては、難しい部類です。まずは、以前のセルモーターを分解してみました。下記写真です。

Starter1

写真左:アーマチュアのコンミュテーターは荒れていますが、セルカッチン病の原因では無さそうです。
写真右:ブラシも荒れてますが、セルカッチン病の原因では無さそうです。
接触面の欠落状況から突入電流は多めかもしれません。

セルカッチン病発生中でも、プルインコイルは作動してるように思えます。そうすると、疑うべきは、大電流が流れるメイン回路となります。

決めつけは判断を誤る事に繋がりますが、まずは接触抵抗が増大していると仮定して、それを見つける為に、工夫して色々と測ってみました。検出精度は、0.1ミリオームです。誤差は0.1ミリオーム以下だと思います。電線メーカーの銅線導体抵抗なども参考にします。色々と測りながら精査していきますが、未知の計測ですから分からない事も多く、推測も多くなります。しかし、メイン回路中に存在するはずがない抵抗値27ミリオームの存在を発見しました。
もし電流が400アンペア流れると、400A*27/1000オーム=10.8ボルト電圧降下し、セルは絶対に回らないでしょう。

次に、27ミリΩの所在をピンポイントで突き止めて、揺すったりしました。揺すると0.1ミリΩ~20ミリΩoverまで変化しますので、接触不良に間違い有りません。力を抜くと必ず16m~27mΩで落ち着きます。原因が判明しましたので適切な処置をして修理完了です。

しかし、お預かり期間中は、セルは回ったのです。計算上、回らないはずなのに回ったのです。不思議ですね。
静的な状態で27ミリΩの抵抗があっても、クランキングは出来たのです。
電子が微少空隙を飛び越えたのか、抵抗部分で発熱し溶着したのか、憶測は尽きません。

Starter_ts

症状を確認できない状態でのトラブルシュートと修理でしたが、電気的な数値を精査する限り、ココ以外に異変は見つかりませんでした。数十回以上計測し、再現性/確実性を考慮しました。よって完治したと考えますが、一般論としては、似た異変が別の箇所に発生する可能性も考えるべきでしょう。しかし過去の車両履歴を遡って考察した結果、それは「無い」と考えます。T様の911(のみ)に関しての話です。
「無い」という保証は出来ませんが、20年ほどは安心して良いと思います♪
有り難うございましたm(_ _)m

GT3点検

長野県のN様の996GT3(後期)です。今回は一通り点検のご依頼を承りました。

量産ポルシェの一通り点検(ノインマイスターチェック)の料金は、初回の場合だけ、\41,790円です。部品交換などは別料金となります。

点検の結果は、N様にご連絡させて頂きまして、N様の気になる箇所/部品と照らし合わせつつ御相談し、交換する部品しない部品を決めて、作業させて頂きました。

走行距離が少なく程度が良いGT3ですが、今回の点検で色々な事が分かりました。車両本体だけに限った事ではなく、ある作業を実施した会社の事後対応、その根拠の理不尽さなども分かりました。技術不足と技能不足と勉強不足の結果を、技術的に問題ないという論点にすり替えて、門前払いという感じで。よくある気分のよろしくない問題です。
また、即答事項ではなく預かり検討事項だと思うのですが(車両を預かるという意味ではありません)。預かり検討し、社外の技術担当に相談してみれば、自分たちの技術不足(手順の間違い)にも気が付いたハズです。妥協策というか落としどころも有ったハズです。ある会社は良い機会を逃がしたように思います。個人的には、CIされた美しい看板を信頼していただけに、大変残念です。
N様の心中、お察しいたします。

--追記はじまり--
いま、2011年7月14日 18:30です。
ある作業をした会社の件ですが、対処して頂ける事になったと、N様からご連絡が有りました。上記の「大変残念」という部分を撤回いたします。一件落着しそうな感じで良かったです。
--追記おわり--

さて、交換部品の詳細は省略させて頂きます。
ただ、一点、ココでは面白い事例を書きたいと思います。

過去にアライメント調整済みです。恐らくは新車時から適正値であり、調整時にもほとんど触わっていません。試運転では確かに適正である感じはします。
しかし、、、(続きは省略させていただきます。N様にはお話しさせて頂きました)。
工業製品の公差をどう解釈するか、あるいは、気が付かない?スルーする?何かやってみる?と言う選択で、もしかしたら結果が違ってくるかもしれません。
もし今後アライメントをする事があるのでしたら、そのあたりに気配りした追加作業をしたほうが、結果がグーンと良くなる可能性があります。

Gt31

上記写真。公差の話と関係有るのか別件なのかは分かりませんが、ほんのかすかなステア違和感を感じましたので(微風横風レベル)、リフトアップついでの無料作業というか祖父江の興味にて、左前のバネのロアシートを0.6mm上げました。もしバネレートが6kgならば3.6kgの荷重増加です。テスト走行時に想定したのは0.5~0.8mmでした。ウェイト調整の現実を知ってる人には理解できないレベルかもしれませんね。普通なら誤差レベルですから。
違和感は75パーセントほど改善しましたが、あと25パーセントを求めて深追いすると泥沼にはまりますので、コレで良しとさせていただきました。

車高調製も4輪アライメントもウェイト調整も、手段であって目的ではありません♪

Gt32

上記写真。ドライサンプオイルタンクのシールリングは銅製ですね。かなり潰れます。

Gt33

上記写真。お引き取りご来店の直前に再確認です。

遠路はるばる、有り難うございました。お大事にして下さい。
今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m

エアコンガス補充/真空引きガス充填

今朝、930ターボにお乗りの愛知県のG様からお電話があり、ガス補充して欲しいとの事でした。「入れても、また漏れますよ」とご説明したところ、ご承知の上で、とりあえず入れたい、との事でした。
急ぎの作業でしたので、写真はありません。

ガス圧を測るとほとんど入っていなかったため、一度真空引きしてから、ガス量と圧力を見ながら充填し、高めの高圧を考慮してほんの少し少なめで完了とさせていただきました。年数の割には真空保持度合いが比較的に良い感じでしたので、今年の夏は大丈夫でしょう。運が良ければ来夏も大丈夫かもしれません。
有り難うございまいましたm(_ _)m

ポルシェ作業のスキルやセンスと、、品質。(1/--)

ノインマイスター祖父江です。

Skill

写真左:
とあるポルシェのアースポイントM6ボルト頭10ミリです。配線末端の丸端子金具が金属ステーに当たっていますし、もしかしたらショートしてるかもしれません。このままでは、やがて被覆が破れて芯線がショート、その次に切れる事が予想できます。

本事例はアース線で、ショートしても何も起きませんから、とりあえずは問題ないと言えばそれまでです。しかしコレが電源ラインや信号ラインでしたら、危険ですね。

写真右:
手直ししました。十分に指が届かない狭い場所ですし、共回りするので少し面倒でした。カメラやフラッシュが思うように届かないので写真撮影も苦労しました。

ボルトを締めるだけの単純作業が、実は奧が深いのです。日本車でこの様な状況が少ないのは国産設計者や生産技術の方々の努力の成果でしょうか。

ポルシェメンテ作業時の小さな積み重ねが、個々の部品の寿命、しいては車両全体の寿命や性能を左右すると考えます。

ポルシェ車やポルシェ社が、生産ラインやマーケットのメカニックに、比較的高度なスキルを要求してるとも言えます。生産性はカイゼン導入(1997年式のボクスター登場前)にて激変したようですが、しかし、作業者一人一人に要求されるスキル自体はナロー以降いまだに変化していないように感じます。

G50ミッションのオーバーホール

ポルシェ911Carrera Turbo Look(ファクトリーターボルック)です。

930_eg_mt

上記写真、左から
1 エンジンミッションをアッセンブリーで降ろしてます。
2 降りました。エアフロはホットワイヤー(ホットフィルム)に交換してロム現車合わせ済みです。
3 エンジン台(ミッション台)に載せてフロントカバーや5速を外したところです。オーナー様が何か見ていらっしゃいます。

G50mt

上記写真、左から
1 分解したミッション。
2 旧シンクロナイザーリングの隙間です。
3 新品シンクロの隙間です、広くなりますね。

Chamfer

上記写真、各ギヤのチャンファーです。ルーペで見るよりも写真撮影した後に拡大した方が状況がよく分かります。

交換すべき部品を交換して組みましたら車両に搭載して、何回かし運転して、完成です。
有り難うございましたm(_ _)m

点検整備=知る事/考える事。ボルト増し締めなど

ノインマイスター祖父江です

点検や車検などでお車をお預かりしたとき、まずは眼で見ます。車両各部の構造物や機構の状況を眼で見ながら、同時に眼に見えていない状態を考えます。ボケーッと見るわけでは有りません。

経験値が浅い車両の場合には、アチコチにレンチやボックスソケットやドライバーを当ててみます。軽い増し締めですね。そうすると、時々、緩みやすいナット/ボルト/ネジが有る事に気が付いたりします。それは、経験を重ねると、車両固有の状況(個体差)であったり、車種固有の状況であったり、色々である事に気付きます。
あるいは、ココが緩むと大変な事になるなぁ、と感じれば、増し締めしてみたり。
何か違和感を感じたら、点検料金が増加しない範囲で、部品を外したり、ボルトナットを一度緩めて見たりも、します。
時にはボルトナット交換したり、ロックタイト(ネジロック)を塗ったりもします。
しかし個々の細かい作業はお客様にお伝えしない事が多いです。
たまに有るのですが、ネジ雌ねじをリコイル修正したり、何らかの割れ箇所を溶接修理などの場合には、事前連絡の上でご請求させて頂いております。

当然、消耗品やオイルの状況確認などを含めて、世間一般で行われる点検も実施しますから、更にその上のノインマイスター独自視点という事で、この記事を書いております。

Tenken_eakuri

上記写真は、964のエアクリーナーボックス内部です。オーナー様にはお伝えしていなかったと思います。エアクリーナーエレメントの下流側(エンジンに近い方)に、ファンネルが付いています。ファンネルを外すと、ナット4個が見えます。このナットはロックナットであり、緩みにくく、緩んでも脱落しないナットです。

緩まないと思いますか? 脱落しないと思いますか?
はい、ナットは緩みません。正しく仕事してるナットは優秀です。

しかし、エアフロメーターにねじ込んであるスタッドボルトごと、抜けてくるのです。こちらの車両も、締めてみたら、4個のうちの1個だけ、5~6回転ほど回りました。
964初期車両は、「スタッド埋め込み+ロックナット」ではなく、ボルト締めでした。ボルトは良く緩み、エアクリーナーケースの中に脱落していた事例もありました。
もしもボルトやナットがエンジンに吸い込まれていたら、エンジンブローでしょうか。

Nut_masisime

上記写真は、996のワイパーアーム付け根です。ココは、テーパー勘合+スプラインです。オス側は鉄でスプライン付きです(スプラインというのは、線状の凹凸です)。メス側はアルミ合金で、新品部品にはスプラインは無かったと思います。
ナットが緩むと言うよりは、アルミが微妙に挫屈したり、アルミがスプラインの凸部分で押されて凹んで、その結果ボルトテンション(張力、軸力)が減少し、ナットが緩むのだと思います。同じ車両を2年ごとに車検点検して都度増し締めしていると、やがて締まらなくなります。座屈や凹凸がなじんでアタリが付くというか落ち着くのでしょう。

こちらの996は、現在のオーナー様になってからの主な整備履歴はお聞きいたしました。車両を拝見すると、過去に、どのようなスキルとどれぐらいの注意力で整備をしたか、およそ想像が付きました。リフトアップして拝見すると、一生懸命にやっている事は十分に分かりました。直近の大きな点検整備も、その前の点検整備も、担当したメカニックは教科書的に決められた事を無難に遂行した、余計な事は一切していない、そう感じました。

故に、祖父江がひねくれているのかもしれませんが、ワイパーアームは絶対に締めてないと思いまして、レンチを当てる前にカメラを用意して、増し締め前と増し締め後の写真を撮りました。それが上記の写真です。75度ぐらい回ったでしょうか。予想通りでした。
ココのネジピッチはM8*1.25だと思います。ナット移動量は1.25mm*75/360=0.26mmとなります。
ナットが緩む方向(この写真だと上方向)へ0.26mm移動すれば、締結力はほぼゼロでしょう。走行中にワイパーが外れずに良かったと思います。
テーパー勘合部分は食い込んでいますので、もしナットが完全に緩んでもスグにワイパーアームが空回りする事は無いでしょう、しかし時間の問題です。
緩みが進行すると、最終的にはワイパーアームが空回りしますが、たちが悪いのは、ワイパーアームがボディを叩く可能性がある事です。

点検時に、ココを締める車屋はほとんど居ないと思います。

点検では、車両の各部の構造物に触手してみて(レンチ当てたりドライバー当てたり、場所によっては素手で触ったり)、構造を考えて、緩む可能性や、将来の不具合の可能性を考えています。それが、トラブルを未然に防ぐ事に繋がると考えます。
もちろん、壊れてから壊れた箇所だけを直すのも、一つの方法だと思いますが。

車の試運転では、クラッチやブレーキやアクセルやシフトレバーなどの操作感を感じながら神経を集中します。集中しながら感じ取っている感覚について考えます。操作リンケージやしゅうどう部分の油ぎれ感を感じる事もあります。給油や調整などで簡単に改善する部分は、だまって実行している事も多いです。
同じ車両を毎年や二年ごとに点検していれば、毎回同じ場所に何か感じる事も有れば、都度違う場所に何かを感じたりもします。

一般のオーナー様/ユーザー様も、ポルシェ/外車/国産問わず、機会があれば、色んな車を運転してみると良いと思います。年式やバージョンに依る違いを感じれば、理解がひとつ深まります。
同じ車種同士で何か違いを感じれば、それはどちらかの車が、ワンステップ、良くなる事にも繋がります。

それから、小さな事でも、何か気になった事、気付いた事は、聞いてみて下さい。大抵は全く心配無用の事が多いですが、気にしてるよりは聞いてみてスッキリする方が精神安定上、良いです。時には重大な発見に繋がる事もあります。

@大事故(トラブル)は小さな異変から

関数電卓カシオFX-502P

1980年、15歳の春に、購入しました。以後31年、使い続けています。
直近20年間は、主に、工具箱(キャディ)に収納しており、オフィスではなく工場という過酷な環境で使っています。過去に一度も壊れておらず、頑丈だと感じています。

Casio_fx502p

他にも関数電卓は数個持っておりますが、FX502Pばかり使っています。502P本体のアルミの質感や適度な重みや、キータッチの心地よさ、液晶の反応速度が感覚にマッチしているなど、大変気に入ってます。

ちなみに、先週、6月29日の午後、工場内は42度に達しました。

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