ノインマイスター祖父江です
点検や車検などでお車をお預かりしたとき、まずは眼で見ます。車両各部の構造物や機構の状況を眼で見ながら、同時に眼に見えていない状態を考えます。ボケーッと見るわけでは有りません。
経験値が浅い車両の場合には、アチコチにレンチやボックスソケットやドライバーを当ててみます。軽い増し締めですね。そうすると、時々、緩みやすいナット/ボルト/ネジが有る事に気が付いたりします。それは、経験を重ねると、車両固有の状況(個体差)であったり、車種固有の状況であったり、色々である事に気付きます。
あるいは、ココが緩むと大変な事になるなぁ、と感じれば、増し締めしてみたり。
何か違和感を感じたら、点検料金が増加しない範囲で、部品を外したり、ボルトナットを一度緩めて見たりも、します。
時にはボルトナット交換したり、ロックタイト(ネジロック)を塗ったりもします。
しかし個々の細かい作業はお客様にお伝えしない事が多いです。
たまに有るのですが、ネジ雌ねじをリコイル修正したり、何らかの割れ箇所を溶接修理などの場合には、事前連絡の上でご請求させて頂いております。
当然、消耗品やオイルの状況確認などを含めて、世間一般で行われる点検も実施しますから、更にその上のノインマイスター独自視点という事で、この記事を書いております。
上記写真は、964のエアクリーナーボックス内部です。オーナー様にはお伝えしていなかったと思います。エアクリーナーエレメントの下流側(エンジンに近い方)に、ファンネルが付いています。ファンネルを外すと、ナット4個が見えます。このナットはロックナットであり、緩みにくく、緩んでも脱落しないナットです。
緩まないと思いますか? 脱落しないと思いますか?
はい、ナットは緩みません。正しく仕事してるナットは優秀です。
しかし、エアフロメーターにねじ込んであるスタッドボルトごと、抜けてくるのです。こちらの車両も、締めてみたら、4個のうちの1個だけ、5~6回転ほど回りました。
964初期車両は、「スタッド埋め込み+ロックナット」ではなく、ボルト締めでした。ボルトは良く緩み、エアクリーナーケースの中に脱落していた事例もありました。
もしもボルトやナットがエンジンに吸い込まれていたら、エンジンブローでしょうか。
上記写真は、996のワイパーアーム付け根です。ココは、テーパー勘合+スプラインです。オス側は鉄でスプライン付きです(スプラインというのは、線状の凹凸です)。メス側はアルミ合金で、新品部品にはスプラインは無かったと思います。
ナットが緩むと言うよりは、アルミが微妙に挫屈したり、アルミがスプラインの凸部分で押されて凹んで、その結果ボルトテンション(張力、軸力)が減少し、ナットが緩むのだと思います。同じ車両を2年ごとに車検点検して都度増し締めしていると、やがて締まらなくなります。座屈や凹凸がなじんでアタリが付くというか落ち着くのでしょう。
こちらの996は、現在のオーナー様になってからの主な整備履歴はお聞きいたしました。車両を拝見すると、過去に、どのようなスキルとどれぐらいの注意力で整備をしたか、およそ想像が付きました。リフトアップして拝見すると、一生懸命にやっている事は十分に分かりました。直近の大きな点検整備も、その前の点検整備も、担当したメカニックは教科書的に決められた事を無難に遂行した、余計な事は一切していない、そう感じました。
故に、祖父江がひねくれているのかもしれませんが、ワイパーアームは絶対に締めてないと思いまして、レンチを当てる前にカメラを用意して、増し締め前と増し締め後の写真を撮りました。それが上記の写真です。75度ぐらい回ったでしょうか。予想通りでした。
ココのネジピッチはM8*1.25だと思います。ナット移動量は1.25mm*75/360=0.26mmとなります。
ナットが緩む方向(この写真だと上方向)へ0.26mm移動すれば、締結力はほぼゼロでしょう。走行中にワイパーが外れずに良かったと思います。
テーパー勘合部分は食い込んでいますので、もしナットが完全に緩んでもスグにワイパーアームが空回りする事は無いでしょう、しかし時間の問題です。
緩みが進行すると、最終的にはワイパーアームが空回りしますが、たちが悪いのは、ワイパーアームがボディを叩く可能性がある事です。
点検時に、ココを締める車屋はほとんど居ないと思います。
点検では、車両の各部の構造物に触手してみて(レンチ当てたりドライバー当てたり、場所によっては素手で触ったり)、構造を考えて、緩む可能性や、将来の不具合の可能性を考えています。それが、トラブルを未然に防ぐ事に繋がると考えます。
もちろん、壊れてから壊れた箇所だけを直すのも、一つの方法だと思いますが。
車の試運転では、クラッチやブレーキやアクセルやシフトレバーなどの操作感を感じながら神経を集中します。集中しながら感じ取っている感覚について考えます。操作リンケージやしゅうどう部分の油ぎれ感を感じる事もあります。給油や調整などで簡単に改善する部分は、だまって実行している事も多いです。
同じ車両を毎年や二年ごとに点検していれば、毎回同じ場所に何か感じる事も有れば、都度違う場所に何かを感じたりもします。
一般のオーナー様/ユーザー様も、ポルシェ/外車/国産問わず、機会があれば、色んな車を運転してみると良いと思います。年式やバージョンに依る違いを感じれば、理解がひとつ深まります。
同じ車種同士で何か違いを感じれば、それはどちらかの車が、ワンステップ、良くなる事にも繋がります。
それから、小さな事でも、何か気になった事、気付いた事は、聞いてみて下さい。大抵は全く心配無用の事が多いですが、気にしてるよりは聞いてみてスッキリする方が精神安定上、良いです。時には重大な発見に繋がる事もあります。
@大事故(トラブル)は小さな異変から
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