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2011年6月

バリオカムプラスのカムカバーオイル漏れ修理

滲みから漏れに変化しつつある状況でした。滲んだオイルが、地面に垂れるような事はありませんでしたが、イグニッションコイルの遮熱板(ヒートシールド)やイグニッションコイル等が油まみれでドロドロでした。

Valio_cam

上記写真の左から順に
1 右バンクカムカバーの半分ぐらいが写真に写ってます。カバー全体的にベトベト/テカテカでした。
2 左バンクは全体的に綺麗でした。赤枠は左オイルポンプです。
3 右バンクカムカバー外しました。

Cam_oil_leak

上記写真の左上から右へ向かって
1-1 修理前のオイルポンプ(右バンクのリターン)
1-2 修理前のカムエンドキャップ(右バンク)
2-1 修理後のオイルポンプ外観
2-2 修理後のカムエンドリッド

カラカラに乾いて気持ち良くなりました♪

空燃比計の基盤修理。ハンダと導電性接着剤

ポルシェの修理屋のノインマイスター祖父江です。

6年ほど前に、とある空燃比計を買いました(OLD-AF計、とします)。2ヵ月後に空燃比計の電源ケーブルを加工していた時に誤って基盤と空燃比センサーを壊してしまいました。
OLD-AF計の中を見ると、基盤はチップコンデンサーが焦げていました。
とりあえず同じ店から同じ空燃比計を購入して、以後使っていました(NEW-AF計、とします)。
購入日の違いは65日ほどです。

先日、NEW-AF計を使用中、液晶表示がチラチラする故障症状が発生しました。
NEW-AF計本体筐体外側の液晶面を指で弾くと、チラチラが変化しましたので、液晶の接触不良だと思い、LCDモジュールを分解し、液晶を取り出し、導通面を拭いたりしてみました。下記の写真が液晶です。
LCDモジュールはフラットケーブルでしっかりとハンダ付けしてありましたので問題ないでしょう。

Ekishou

結果は、変化が有るような無いような、よく分からない状況でしたが、直っていない事は確実です。
そこでOLD-AF計のLCDモジュールを分解し液晶を取り出して、換装しました。結果、数日間は直っていました(と、思っていました)。
しかし数日後、再発しましたので、直っていません。原因は別にあります。

トラブルシュートの経緯は省略します。

結論は、AF計本体駆動電源(006Pの9V電池)の配線接続部付近にあるIC(三端子レギュレーターLM1086)の、レギュレーター本体の接触不良というか、「剥がれ」でした。
OLD-AF計の該当箇所は、ハンダ付けされていました。
NEW-AF計の該当箇所は、ハンダ付けされていません。導通は必要ですから、導電性接着剤を使用していると思います。

車載で使用しますから、振動は、あります。振動で導電性接着剤が剥がれたのでしょう。
OLD-AF計とNEW-AF計の購入時期の差は、65日ぐらいでした。製造工程を変更した時期に一致してしまったのでしょう。コストダウンですよね? 6年前の話ですから、その頃から脱ハンダが始まったのでしょうか?

Af

上記の写真、左から右へ向かって、
1 左はOLD-AF計、右はNEW-AF計。
2 赤ボールペンの先が、OLD-AF計のハンダ付けされているICです。
3 OLD-AF計の、ハンダ付け部分の拡大写真です。
4 OLD-AF計の、ハンダ付けされているICです。
5 NEW-AF計の、ハンダ付けされていなかったICです。赤枠は導電性接着剤の残骸です。黄色枠が今回のハンダ付け修理した痕跡です。ICの角度が少しずれている理由は、基盤面を表面に沢山露出させてハンダ面積を確保したいからです。

伝導性ポリマーや導電性接着剤などは、素晴らしい技術だと思いますが、特に接続部の耐久性や安定性などはどうなんでしょうか?

余談ですが、
昔ながらの製造手法だった空冷ポルシェが、何十年も経過した現在も存在しています。
おおむね2000年前後から外車国産問わず自動車のトータル品質は、オーナーサイド(ユーザーサイド)での感覚では劇的に良くなり壊れにくくなったように思えますが、こらから訪れるであろう何十年というスパンでの耐久性はどうなのでしょうか? 見守りたいと思います。

BMW MINI 設計思想とエアロダイナミクス

岐阜県のS様のBMW MINIです。今回は車検整備のご依頼を承りました。有り難うございます。

Bmw_mini1

上の写真は、リフトアップした時の下回りの写真です。
スパンのとても長いリヤサスペンションアームが素敵です(水色の枠)。バンプ/リバウンドストローク時の対地キャンバー変化が少なく安定しますね。
黄色の枠は、空力パーツに思えたのですが、いかがでしょうか? どういう呼び方が正しいか存じませんが、ディフレクター、ストレーキ、エアロスパッツ、グランドエフェクター、アンダースポイラー、などと言うのでしょうか。

一番先端、フロントバンパーの下にチンスポイラーが付いています。チンスポの左右部分はフロントタイヤのディフレクターを兼用しているように見えます。
フロントサスペンションクロスメンバーの後側にスパッツが付いてます。その後方はエンジンルームの熱気がフロア下に抜ける通り道ですので、このスパッツで負圧を作り、熱気の吸い出しを促進してるように思えます。
フロア後方の、左右にある燃料タンクの前方にもスパッツが付いてます。
左右リヤタイヤの前方にも有ります。
沢山、付いてますね。
アンダーフロアはなるべくフラット形状を目指したように見えます。
段差のある角張ったサイドステップはボディサイドを流れる空気の巻き込みや大きな渦の発生を防止してるように思えます。

Bmw_mini2

上記写真左上から右へ向かって、
1-1 純正オイルフィルターの品番は、1142-7512-446 です。
1-2 タイヤ付きホイールを脱着したついでに、裏側を含めて水洗いさせていただきました。オーナー様ご自身でホイール単品を洗う機会は少ないでしょう。
2-1 車体下部後方。
2-2 なんとなく、緑の矢印のような空気の流れを想像しました。
チンスポイラーの車両中心部分を切り取っているように見えるのは、車体の下へ空気を入れたいからでしょう。フロア下に入った走行風の一部は三段階形状のスパッツで車両側方へ流れつつ、一部はスパッツ後方でダウンフォースを作ってるように思えるのですが、いかがでしょうか?
マフラーが通るフロアトンネル部分の左右フロアを繋ぐ補強プレートは、国産車でもよく見かけますが、ミニの物はしっかりした作りです。

写真はありませんが、フロントサスペンションのロアアームの取り付けにわざわざ角度を付けたように見えまして、バンプストローク時のキャスター角増加、それによる安定性の向上を狙ったのでしょうか。

よく見るとアチコチに何らかの工夫をしているように見えたり、コストの前にまずは性能や剛性を優先しているように見えたりします。車作りの思想でしょうか。
最高速付近での直進安定性/油温水温の安定/コーナーでのリヤの粘り、などを考えているのではないかと思いました。
街乗り速度でもステアフィールや車体の応答は良いし、ダンパーの初期減衰もキッチリ効いてるように感じました。その分、ハンドルのキックバックやゴツゴツした乗り心地になっているのでしょうか。
雰囲気や質感は上質で楽しくてワクワクする感じです。
ハイパワーバージョンや足の硬いバージョンも有りますし、格好が可愛いだけの車では有りませんね、良い意味で変わった車だと思いました。

S様、有り難うございました。今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m

摩耗したスパークプラグの写真。碍子も減ります

Sparkplug_2

上記写真の、右側は摩耗した996スパークプラグで、ベル製です。中心電極と側方電極(接地電極)が摩耗しているのが分かります。左はボッシュ製の新品です。
両者の見た目の違いの一つ目は、ベル製はボッシュ製よりも側方電極が太いです。しかし側方電極よりも中心電極が先に寿命に達しそうですから、側方電極の太さの大小は関係ないように思えます。違いの二つ目は碍子部分の太さと形状です。

Platinum36000km_2

上記写真は、取り外して点検した某社の新車純正装着の某プラグメーカーのプラチナプラグ(platinum)です。走行距離36000Kmですが、流石プラチナだけあって摩耗してないように見えます。中心電極は碍子から飛び出さないタイプです。側方電極は上記996プラグと同じく4本タイプです。

Insulator

上記は、もう少し拡大した写真です。絶縁碍子セラミックに放射状の模様が付いているのが見えます。綺麗ですね。スパークは火花放電ですから、放電加工現象が起きて碍子が削られた痕跡です。碍子が摩耗してるわけです。絶縁碍子のチャネリングと言うそうです。良く見ると、黄色枠のチャネリング溝が太くて深いようです。おそらくは黄色矢印方向の燃焼か放電環境が良いのか、あるいは混合気の流れや状態によるものでしょう。

Channeling

上記はもう少し拡大した写真です。中心電極と碍子間の隙間は0.06ミリ程かと思います。絶縁碍子が溶けているように見えます。ハンダが溶けたような感じですね。この溶けた様な状況は肉眼では認識できませんし、チャネリング深さも0.1ミリ程度のようですから、とりあえずは問題ないかと思います。

以上、単なるプラグの拡大写真でした。

カップカーROMチューニング現車合わせ/実走行

愛知県のS様のポルシェ911CUP(964カップカー)です。今回はCUPカーのロムの現車セッティングのご依頼を承りました。有り難うございます。

DMEエンジンコンピューターチューニングとか、ロムチューン、ROMチューニングとか言われています。エンジンを制御する純正コンピューターの中のロム(ROM)を書き換えて、より乗りやすくしたり、よりパワーを出したり、より気持ちよく官能的にしたり、します。ノインマイスターでは、実車による実走行を基本としています。現車合わせとか現車セッティングとも呼ばれています。
ガソリンを濃くしたり薄くしたり、点火時期を進めたり遅らせたり、セッティング内容は色々です。必ずしも濃くすれば良いとか点火を進めれば良いとか言う話ではありません。エキゾーストを変更すれば適切な点火時期は数度ぐらい簡単に変わってしまいます。

Romsetting

上記写真、左から
1 純正のO2センサーを外し、空燃比センサーを取り付けます。装着位置は触媒の前です。取り付けネジ(取り付けボス)が無い場合にはボスを溶接する必要が有ります。
2 運転席シートの後のDEMコンピューターのロムの引き抜き、代わりにROMエミュレーターを差し込みます。
3 セッティング機材です。昔からやっていますので古い物が多いです。
助手席にノートパソコン、空燃比計(AF計)を載せます。助手席の足下にロムライター、各機材のACアダプター、コンセントタップ、DC-ACコンバーターを載せます。AC100ボルト電源用の12ボルトバッテリー(100Ah)を助手席の後に搭載します。全ての配線を接続し、パソコンからデータをエミュレーターに送って、エミュレーターを起動すれば、ROM無しでエンジンを掛ける事が出来ます。

元々チューニングロムらしき物が入っていましたが、気にせずに先入観無しで、まずはアイドリングや空吹かしや発進を繰り返して、アイドル付近から発進加速初期のデータを書き換えます。主に軽負荷領域です。過去にいくつものチューニングロムを見てきましたがこの領域を丁寧に書き替えている物を見た事がありません。あくまでも私見ですが。
冷間始動時の状況を試せるのは、一日に朝晩の2回しか有りませんので、煮詰めるには何日もの日数が必要になる事が多いです。

同時に一般道を走行をしてロム全体的に書き替えていきます。多ければ何十回も書き換えます。色々なアクセルワークや各種走行パターンを試します。パワーも大事ですが、フィーリングやアクセルのツキの良さを重視して書き替えます。

最後に高速セッティングです。パワー重視ですが、少しコダワリがあります。パワーが少し落ちても(推定で数馬力です)気持ちよく官能的な回り方を目指して書き換えます。もし複数のマップパターンで迷ったら、気持ちよく回る方を選びます。

サービスエリア(SA)かパーキングエリア(PA)のたびに停車して、空燃比(AF)などのログデータの確認とロム書き換えを行います。実際にはロムの代わりにエミュレータで動かしていますので、パソコン上のデータを書き換えます。

964cuprom1_2

上記写真左上から右へ向かって、
1-1 ミッドナイトに工場を出発しました。路面はドライでした。
1-2 SA1回目停車とデータ書き換えです。ドライでした。
1-3 SA2回目。ウェットでした。
1-4 SA3回目。ウェット。
2-1 SA4回目。ウェット。濃霧で肌寒かったです。
2-2 SA5回目。ウェット。
2-3 SA6回目。ウェットからドライになりつつあります。
2-4 SA7回目。ほぼドライです。夜が明けつつあります。午前4時過ぎです。

964cuprom2

1-1 SA8回目。ドライです。パトカーが来ました。
1-2 SA9回目。
1-3 SA10回目。
1-4 SA11回目。
2-1 SA12回目。
2-2 SA13回目。
2-3 SA14回目は、高速を降りて、一般道です。
2-4 帰ってきたのはお昼前です。出発してから12時間30分後でした。

道中、大型トラックのタイヤつきホイールが1本と、多数のタイヤ破片が落ちていました。安全運転していましたので、1.5車線ほど使ってゆっくりとスラロームしながら避ける事ができました。次のサービスエリアで止まっていると、パトカーが来て、タイヤにぶつかって乗り上げた国産車2台から事情を聞き始めました。1台の同乗者らしき女性に話しかけてみると、「タイヤを新品に交換したばかりで良かったです、もし古いタイヤだったら滑ったり飛ばされたりして壁に当たっていたかも」という内容の事をおっしゃいました。タイヤの認識が素晴らしいと思いました。2台とも前回りの損傷がありましたが、大事故にならなかったのは不幸中の幸いだと思いました。

964CUPの話に戻ります。タイヤはポルシェ認証(認定、指定)のNが付いています。カップの固められた足ゆえに認証Nタイヤでもたわむ気がしましたので、エア圧を高めにして走りました。それでも高速でたわむというかヨレというか剛性の不足を感じてしまいました。
別件でオーナーのS様からのご依頼のハンドル振れも確認し、状況をS様にお伝えしましたが、普通の車でしたら振れを感じないか気にならないレベルだと思います。高度なセッティングでシビア固められた足ゆえの、シビアな問題だと思います。

翌日以降、アイドル/一般道/全開などを再確認/再変更してロムデータを全体的に煮詰めて納得できればようやく生データの完成です。パソコン上の生データをロムライターを使用してROMに書き込んで、ROMをDMEコンピューターに装着すれば、パソコンやセッティング機材を車両から降ろす事が出来ます。
今回のガソリン使用量は95リットル程かと思います。走行距離は約500Kmとなりました(一般道が200Kmほど、高速が300Kmほどです)。アイドリングや空ふかしや発進を繰り返していたのは5時間程かと思います。

今回は、メタルクラッチや軽量フライホイールが入っている事もあり、アイドリングやクラッチミートや一般道低速走行の領域のセッティングに時間を掛けました。その結果、5速2000rpm以下でもトルクもりもりで物凄く走りやすい状態になりましたが、特定の油温の時だけに特定のアクセルワークの発進をすれば特定の回転域で失速する事に気が付きましたので、普通の状態へ戻さざるを得ませんでした。普通の状態とはいえ元々とは比べ物にならないぐらいに遙かに良くなっています。

ダイノパックやシャシダイを使って煮詰めればあと3~5PS程度は上昇すると思います。しかし、あえて、この設定とさせて頂きました。
乗りやすくて気持ちよく官能的な回り方をご堪能ください。
有り難うございましたm(_ _)m

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